宿を探して日が暮れてきた。
この先の不安が感じられる。
「おい、金をだせ‼︎ はやくださねえか」
怒鳴り声が路地裏から響いている。
どうやら、2人組みの男性が老婆を襲っているようだ、、
周りを見てもだれひとりとして、この状況を見て見ぬ振りをしている。
この状況はまずい、だが、僕に力があるわけもない。
助けることなんて尚更のことだ。
逃げたいが、小心者の僕の身体は一歩も動かない…
「やばい、、刺してしまっただろうが」
「早くださねえからだ」
2人組は慌てた様にやり取りをしている。
そして、僕の方にもどうやら気づいたようだ。
「おい、、、何みてんだ」
大柄の男性がこちらを見て、睨みつける。
僕の身体はこの状況でも、動かない。
大柄の男性の手元を見ると、ナイフに血が染み付き垂れている。
ゆっくりとこちらに、近づいてくる…
「見ていた、、お前が、悪いからな…」
その時、、僕の身体は地面に倒れた。
目をやると、大柄の男ともう1人の男は走って、路地裏を去っていく。
どうやら、僕は刺されたらしい。
ゆっくりと、身体に痛みがはしる。
意識がだんだんと薄れていく。
刺されたお腹に手をつけると、生あったかい物が手につく。
ここで、死んでしまうのか、、、
嫌だ…まだ死にたくない。
僕の手が光った。
傷がみるみる回復していく。
そうか、あの時、神様から貰ったギフト、回復士の力を使えたのか、、
なんとか助かったが、先程の老婆はどうなったのか
周りを見渡すと、老婆が床に倒れている。
『あの…だい…じょうぶですか』
ここでも、コミュ障が発揮されてしまう。
大丈夫なわけがないのだが、老婆は床に疼くっまっている。
血が大量に出ている。
手を老婆にかざし、治れと強く願ってみる。
また、先程と同様に手から光が出る。
老婆は意識を取り戻した様だ、、
「あんた、回復士かい 本当に助かったよ」
「2人組みの男に襲われた時は、本当にダメかと思ったわ」
「お礼がしたいけど何したらいいかね」
老婆は僕に尋ねている。
だが、僕はコミュ障全開がでてしまい。初めての人と話しがうまく出来ない。
「大丈夫かい、あんた見ない顔だね、よかったら家に寄ってくかい」
老婆は気を使っている。
『泊まるばしょ、、ないので、、さがしています』
僕は一言、伝える。
汗が滝の様に額から流れ落ちるのだわかる。
「わたしん家は、民宿しているから良かったら、泊まっていきね」
「命の恩人なんだから、遠慮はいらないよ」
老婆は、僕のことを察してか優しく会話をしてくれる。
本当に自分の性格が嫌になるが、異世界に来たからとしても
あがり症は治らないらしい。
『よろしく、、おねがい、します』
そう一言、僕は老婆に伝える。
老婆は優しそうな顔で頷いてくれる。
老婆についていき、民宿に泊めさせてもらおう。