第五話 みつけた

介護のコラム

私は介護施設で5年程勤務している。介護職員です。
今回は私が体験した、介護職員同士で起きた、話を一つ話します。

私が務めている、施設はサービス高齢者住宅という施設になります。
基本的に元気なお年寄りが多く、介護が必要な方や介護の不必要な方も多く
暮らす施設にて介護職員として働いています。

この施設はまだ、新設して、5年ほどしか経っていません。私はこの施設のオープニングスタッフとして入る事が出来ました。ですが、最近は新人の教育係になり、毎日嫌な思いをする事が多くなっていました。

私はいつしか、副主任の立ち位置についており、新人指導を任せられる立場になっていました。最近の若者は、教育的にも不安な所が多く、新人指導時にどの様な対応を取れば良いのかと悩む事が多いです。

「佐々木さん、、利用者の方と話しを座ってしているのは、いいけど、食器の片づけとかも残っているんだから、ちゃんとして」
佐々木とは、私が教育担当になった新人職員です。佐々木は新人の割に態度がでかく、椅子に座ったまま、何時間も動こうとしないような職員でした。

1日に何度も、注意をしても、鼻で笑うかの様に、言うことを聞きません。
彼女が介護施設で働き始めてから、3ヶ月は経ちましたが、未だに介助や仕事の業務の覚えも悪く、日々悩まされていました。

そして、もう一つの悩みがありました。1ヶ月ほど前から、財布などの貴重品が無くなる様になりました。私だけでなく、施設全体で盗難騒ぎが起きています。

ですが、施設としても公にする事は難しく、ほぼ泣き寝入り状態でした。
私は、犯人を個人的に探そうと考えています。

もうすでに、犯人に目星はついていました。
佐々木が容疑者に違いありません。

個人的な感情もありましたが、証拠もありました。
それは、彼女が出勤の日盗難が起きているのです。

彼女に問い詰めても、消して言い逃れされる事は目に見えていました。
私は、彼女の犯行の瞬間を捉えるべく、罠をはる事にしました。

同僚の内田さんに協力してもらい、財布の中に5万円を入れて、ロッカーには、ケータイの動画を使用した罠をはりました。

内田さんと私で、財布の中に、大金がある事を大声で伝え、佐々木さんに聞こえる様に話しをしました。そして、休憩時間をずらし、佐々木さんが犯行を行える様に計画を立てました

内田さんと私で昼休みを取り、財布が入っている、ロッカーを開けます。
そこには、財布が無くなっていました。
急いで、ケータイの動画を確認します。

「やっぱり取っていたよ。 あいつ、これで、写っていれば、訴えれるね」
「5万は痛いけど、佐々木を追い詰めて辞めさせれるなら、損じゃないわ」
私たちは興奮しながら、ケータイを確認します。

動画は全部で2時間ありました。再生ボタンを押し、流れます。
30分すると、ロッカーが開く音が、カチャ カチャと聞こえます。

そして動画には、佐々木の姿が写っていました。

「やったね、これで佐々木は、お終いだわ」
「どうする、警察に突き出そうか」
私たちは歓喜を上げながら喜び合います。

動画は、再生続けていました。私たちのケータイはロッカーの中の上に
置いてあります。
ですので、佐々木の姿と髪型はしっかりと写しだされています。
これで、証拠は充分に整いましたが、、

動画には、佐々木が、ロッカーの中の天井を見上げている所まで写っていました。
ゆっくりと、ロッカーの中の天井を見上げ、
ケータイの前で止まりました。

「み・・・・つ・・・・・け・・・た」
佐々木は、みつけたと一言呟きました。
私たちは、全身に寒気が襲って来るのを感じました。
佐々木は、その後も、30分、ケータイを見続けています。
彼女の顔は、睨み続け、口元は笑っていました。

私たちは、怖くなり、施設長の元に行き、今までの出来事を
全て伝え、彼女の退職を懇願しました。

佐々木さんは、無事退職になりました。
最後に彼女は私たちに向けて、笑顔で話した言葉を今でも忘れられません。

「あの時、私は、みていた」
そう一言、退職日に私たちに告げ去って行きました。

それから、私たちは日々、視線に悩まされています。何処からも見られている感覚が付き纏うのです。

ブログ村 ランキング